岐阜地方裁判所 昭和５０年（わ）４０号 判決
本店の所在地
岐阜市日ノ出町二丁目一〇番地
法人の名称
株式会社シスター
代表者の住居
岐阜市八ツ寺町一丁目八番地
代表者の氏名
宮嶋正嗣
本籍
岐阜県多治見市大藪町一、五二三番地
住居
岐阜市八ツ寺町一丁目八番地
会社役員
宮嶋正嗣
昭和二年一月二日生
右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官徳永勝出席のうえ審理をとげ、つぎのとおり判決する。
主文
被告人株式会社シスターを罰金八〇〇万円に、被告人宮嶋正嗣を懲役六月に処する。
被告人宮嶋正嗣に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。
理由
一、罪となるべき事実
被告人株式会社シスター（以下被告会社という）は岐阜市日ノ出町二丁目一〇番地に本店を設け、婦人、子供服などの販売を営業目的とする法人であり、被告人宮嶋正嗣は被告会社の代表取締役としてその業務全般を掌握しているものであるが、被告人宮嶋は被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て売上の一部を除外する等の不正行為により所得の一部を秘匿したうえ、
第一 昭和四六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額は三六、一八八、〇九三円であり、これに対する法人税額は一二、八五二、八〇〇円であるのに、昭和四七年二月二九日所轄岐阜北税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三、二五七、五四九円でありこれに対する法人税額が八一〇、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて被告会社の同事業年度における法人税一二、〇四二、四〇〇円を免れ
第二 昭和四七年一月一日より同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額は二九、二八五、四一五円であり、これに対する法人税額は一〇、一六二、〇〇〇円であるのに、昭和四八年二月二八日所轄岐阜北税務署において同税務署長に対し、所得金額が四、五五八、〇五二円でありこれに対する法人税額が一、一五四、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて被告会社の同事業年度における法人税九、〇〇八、〇〇〇円を免れ
第三 昭和四八年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額は二七、七九七、六二六円であり、これに対する法人税額は九、六一五、一〇〇円であるのに、昭和四九年二月二八日所轄岐阜北税務署において同税務署に対し、所得金額が六、四一一、七八一円であり、これに対する法人税額が一、八〇七、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて被告会社の同事業年度における法人税七、八〇八、一〇〇円を免れ
たものである。
（証拠の標目）
判示事実全部につき
一、被告人宮嶋世嗣の当公判廷における供述
一、被告人宮嶋正嗣の検察官に対する供述調書
一、大蔵事務官作成の被告人宮嶋正嗣に対する質問てん末書三通
一、証人岩平清の当公判廷における供述
判示第一ないし第三の事実につき
一、被告人宮嶋正嗣作成の昭和四九年一一月二六日付上申書二通および同月二七日付上申書
一、大蔵事務官作成の現金、有価証券等現在高確認書
一、安田節子作成の貸付信託申込書等写
一、尾関宅美作成の貸付信託決算収益支払区分別明細表等写および入金伝票等写
一、加藤光義作成の貸付信託申込書写、指定金銭信託申込要旨および届出印鑑の写、貸付信託申込書および指定金銭信託リスト元帳写二通、貸付信託申込書等写および顧客原簿等写
一、川橋孝雄作成の証明書
一、藤吉義博作成の証明書
一、高井宮弘作成の通知預金証書等写、預金利息支払票等写および通知預金記入帳兼印鑑票等写
一、林高雄作成の普通預金元帳等写
一、中島行雄作成の指定金銭信託申込書等写
一、高林道雄作成の印鑑票等写
一、伊藤正信作成の経続技資申込書等写
一、杉森薫作成の貸付信託受益証券簿（印鑑届）等写
一、小川泰憲作成の金銭信託払出票等写
一、仲西友之作成の貸付信託および金銭信託（収益搬込口）申込書等写
一、春山武雄作成の支払伝票等写
一、高光志郎作成の元利金支払い明細表写および預り金勘定元帳簿等写
一、大蔵事務官作成の昭和四九年一一月二〇日付調査報告書
一、山田晃子作成の上申書
一、大野太郎作成の上申書
一、加藤真一作成の買受申込書等写
一、大蔵事務官作成の古田達雄に対する質問てん末書二通
判示第一および第二の事実につき
一、藤野元宏作成の証明書二通
一、山口裕功作成の貸付信託申込書等写
判示第二および第三の事実につき
一、大蔵事務官作成の昭和四九年一一月二九日付調査報告書
判示第一の事実につき
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書（昭和四六年度分）
一、被告人会社作成の確定申告書（前同）
一、被告人会社作成の修正申告書（前同）
一、押収してある手帳（昭和五〇年押第二三号の一）および総勘定元帳（昭和五〇年押第二三号の四）
判示第二の事実につき
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書（昭和四七年度分）
一、被告人会社作成の確定申告書（前同）
一、被告人会社作成の修正申告書（前同）
一、押収してある手帳（昭和五〇年押第二三号の二）および総勘定元帳（昭和五〇年押第二三号の五）
判示第三の事実につき
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書（昭和四八年度分）
一、被告人会社作成の確定申告書（前同）
一、被告人会社作成の修正申告書（前同）
一、押収してある手帳（昭和五〇年押第二三号の三）、総勘定元帳（昭和五〇年押第二三号の六）および会計伝票（昭和五〇年押第二三号の七）
（法令の適用）
被告人らの判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項（法人の処罰につきなお一六四条一項）に該当するところ、被告人株式会社シスターについては、これらの罪は刑法四五条前段の併合罪なので、同法四八条二項により所定罰金額を合算した金額の範囲内において同被告人会社を罰金八〇〇万円に処し、又被告人宮嶋正嗣については、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、これらは刑法四五条前段の併合罪なので同法四七条、一〇条により最も犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、同被告人を懲役六月に処し、情状により刑法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
よつて主文のとおり判決する。
（裁判官 土井博子）